Utility theory — 効用理論
効用理論(こうようりろん)とは、意思決定理論の一分野であり、確実性、不確実性、またはリスクの条件下で最良の代替案を特定するために、意思決定者(DM)の選好を定量的に表現することを研究するものである。この理論は、選択によって生じる可能性のある結果の主観的価値を反映する、効用関数と呼ばれる数値関数を構築することに基づいている。
概要
効用理論は、意思決定者が結果の主観的効用を最大化しようとする合理的選択の概念に基づいている。この関数は以下のように分類される:
- 価値関数 — 完全な確実性の条件下
- 効用関数 — 確率的な不確実性の条件下
各代替案には、意思決定者にとっての相対的な望ましさを反映する数値が割り当てられる。この関数の値を比較することで、選択肢を順序付けし、最も望ましいものを選択することが可能になる。
公理的アプローチ
効用関数は、合理的な行動に対する要件を反映する公理系に基づいて導入される。古典的な公理系には以下が含まれる:
- 完全比較可能性の公理 — 任意の2つの選択肢を比較できる。
- 推移律の公理 — 選択肢間の選好は論理的に整合している。
- 連続性の公理 — 任意の2つの選択肢の間に、第3の選択肢と等価なくじが存在する。
- 独立性の公理 — 選択肢を複合的なくじに含めても、それらの間の選好は維持される。
これらの条件が満たされることで、線形変換に対して不変な数値的な効用関数を構築することが可能となり、間隔尺度での使用が保証される。
効用関数の種類
1. 線形効用関数
線形形式は以下の場合に使用される:
- 結果が単一の数値尺度(例:金額)で表現されている。
- 意思決定者の選好が限界効用一定の特性を持つ。
- 評価基準の特性間に相互作用がない。
2. 凸型および凹型効用関数
- 凹関数はリスク回避(risk-aversion)を反映する:効用は値の増加とともに増加するが、その増加率は逓減する。
- 凸関数はリスク選好(risk-seeking)の兆候である:意思決定者は、潜在的により高いリターンをもたらすが、より信頼性の低い選択肢を好む。
効用関数の形状は、確実な代替案とリスクのある代替案の間で選択を行う際の、意思決定者の不確実性に対する態度を考慮に入れることを可能にする。
3. 段階的(離散的)効用関数
選好が質的尺度で表現される場合や、離散的な結果が限られた数しか存在しない状況(例:承認/不承認、品質レベル)で使用される。このような関数では、各代替案に固定の効用値が割り当てられ、中間的な段階は考慮されない。段階的関数は、言語的手法、エキスパートシステム、および論理言語的選択モデルで適用される。
4. 加法的効用関数 (MAUT)
各基準に関する選好が独立している多基準選択問題で使用される。全体的な効用は、各基準に対する部分的な効用に重み係数を掛けたものの合計として表される。
5. 乗法的効用関数
基準間に相互作用が存在する場合(例:ある基準が他の基準の重要性を強めたり弱めたりする場合)に使用される。
6. 確率空間上の効用関数
リスク下での意思決定問題に適用される。各結果には、その結果の値だけでなく、発生確率も割り当てられる。効用関数は、期待効用(結果の主観的価値の数学的期待値)を計算するために使用される。
1次元および多次元効用理論
1次元モデルでは、効用は各選択肢全体に対して定義される。
多次元モデル(MAUT — 多属性効用理論)では、複数の基準に対する部分的な評価が考慮される。全体的な効用は、以下に基づいて形成される:
- 基準に関する選好が独立している場合は、加法モデル。
- 基準間に相互作用がある場合は、乗法モデル。
例:ある決定の効用は、時間、コスト、リスクに同時に依存する可能性がある。この場合、各基準の部分効用関数と重み係数が評価される。
主観的効用と客観的効用
効用理論では、以下を区別する:
- 客観的確率(例:統計データから得られる)
- 意思決定者自身によって設定される主観的確率
主観的効用は、事象の発生に対する個人的な確信度と選好を考慮するため、完全な情報が存在しない現実の問題でこの理論を使用することが可能になる。
プロスペクト理論と公理系への批判
実際には、意思決定者の行動が常に古典的な公理系に収まるわけではないことが確立されている。想定される合理性からの逸脱を示すパラドックス(例:アレのパラドックス)が明らかにされている。
これらの制約に応える形で、プロスペクト理論(D.カーネマンとA.トベルスキー)が開発された。この理論では、以下が考慮される:
- 利得と損失の認識の非対称性
- 特定の結果の重要性の過大評価
- 確率と結果の非線形な評価
効用関数の評価方法
方法の一つに、標準ギャンブル法がある。意思決定者は、確定的な選択肢を最良の結果と最悪の結果の間のくじと比較し、無差別点を決定する。これにより、そのくじの主観的確率に基づいて、選択肢の効用関数の値を計算することが可能になる。