Maximin criterion (Wald criterion) — ワルドの基準

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ワルドの基準(Wald's criterion)は、不確実性下での意思決定における主要な手法の一つです。これは極端な悲観主義の原則に基づいており、最悪のシナリオにおいて最良の結果を保証する戦略を選択することを目的とします。

基準の要点

この基準は、意思決定者が各戦略に対して最も不利な結果を想定することを前提とします。各代替案について、その最悪の結果が特定されます。そして、すべての戦略の中から、この最悪の結果が最も良い戦略が選択されます。

言い換えれば、ワルドの基準は最大損失を最小化することを目的とし、不利な状況に対する最大限の防御を保証します。

基準の適用

適用プロセスには、以下のステップが含まれます:

  1. 各戦略について、最悪の結果を特定します。
  2. すべての戦略の最悪の結果を比較します。
  3. 最悪の結果の中で最も良い結果をもたらす戦略を選択します。

このアプローチは、様々な結果の発生確率に関わらず、リスクを最小限に抑えようとする極めて慎重な意思決定者に特徴的です。

数学的定式化

以下が与えられているとします:

  • S={s1,s2,,sm} — 意思決定者が選択可能な戦略(代替案)の集合。
  • Θ={θ1,θ2,,θn} — 意思決定者の選択に依存しない、起こりうる自然の状態(外部条件、シナリオ)の集合。
  • u(si,θj) — 利得(効用)関数。これは戦略 siS を選択し、自然の状態 θjΘ が発生した場合の結果を数値で評価したものです。多くの場合、利得行列 A=[aij](ただし aij=u(si,θj))として表現されます。

ワルドの基準(またはマキシミン基準)は、以下の手順を規定します:

  1. 各戦略の最小利得の発見: 各戦略 si について、起こりうるすべての自然の状態における最悪の結果(最小利得)を特定します:
    uimin=minj=1,,nu(si,θj)=minθΘu(si,θ)
  1. 最小利得の中から最大の利得を持つ戦略の選択: 特定された最小利得の中から最大値をもたらす戦略 sWald* を選択します:
    sWald*=argmaxi=1,,m(uimin)=argmaxsiS(minθjΘu(si,θj))

ワルドの基準を用いた場合に保証される(最小)利得水準は以下の通りです: VWald=maxi=1,,m(uimin)=maxsiS(minθjΘu(si,θj))

このように、ワルドの基準はマキシミン(maximin)原則、すなわち最小利得の最大化を実現します。これは悲観的な視点に基づいており、どのような決定が下されようとも、自然は意思決定者にとって最も不利な形で応じると仮定しています。

損失関数に関する注記

利得関数 u(si,θj) の代わりに、最小化すべき損失関数 L(si,θj) が用いられる場合、ワルドの基準はミニマックス損失基準に変わります:

  1. 各戦略 si について、最大損失値を求めます: Limax=maxθΘL(si,θ)
  2. この最大損失を最小化する戦略を選択します: sWald*=argminsiS(maxθΘL(si,θ))


長所と短所

長所:

  • 手法の単純さと明快さ。
  • 完全な不確実性の下での意思決定において、高度な安全性を保証すること。

短所:

  • 過度な悲観主義:損失を最小化するために、起こりうる高い利益が無視される。
  • 過度に保守的な戦略の選択につながる可能性がある。

Category:Decision making